がら振切って百度の籤《くじ》をぽんと投付けると、柳田典藏の顔へ中《あた》ったから痛《いと》うございます。はっと面《つら》を押えて居るうち戸外《おもて》へ駈出しました。
典「傳次々々」
傳「へえ、何うも彼《あ》の通りで仕様がねえ」
典「だからいけぬと云うに、無理遣りに連れ出して、内々《ない/\》ならば仕様も無いが、斯《こ》ういう茶見世へ参って恥を与えるとは怪《け》しからん事」
傳「お前さん、そう怒っちゃアいけねえ」
典「貴様は最《も》う己《おれ》の家《うち》へ来るな」
傳「そんな事を言ってはいけねえ、旦那腹を立ってはいけません、婆《ばゝあ》がね、娘の跡を追掛《おっか》けたが、居ないから最う仕方がないが、お前さん腹を立っちゃアいけません、そこは処女《きむすめ》で、仮令《たとい》向うが惚れていても、気障《きざ》だよお止しよと振払うのは娘っ子の情で、殊《こと》には二十二まで何だって島田で居る様な変り者《もん》だから、気短かに何う斯うと云うなア、からもう色をした事もないようで、極りが悪いじゃア有りませんか、何でも気長に往《い》かなければいけません、旦那斯うしましょう」
典「もう手前の云う事は聴か
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