》うも何《なん》だか、宜しいかねえ、旨く往《い》くかねえ」
傳「宜しいてえ是は訳はねえ、明日《あした》遣《や》りましょう」
と悪い奴も有るもので、柳田典藏も己惚《うぬぼれ》が強いから、
典「じゃア往《い》きましょう」
と翌日《あした》は彼《か》の大滝村へ怪しい黒の羽織を引掛《ひっか》けて、葮簀張《よしずっぱり》の茶屋へ来て酒肴《さけさかな》を並べ、衝立《ついたて》の蔭で傳次が様子を窺《うかゞ》って居ると、おやまが参って頻《しき》りにお百度を踏み、取急いで帰ろうとすると飛出して、
傳「姉《ねえ》さん」
やま「はい」
傳「此の間は」
やま「はい此の間は誠に」
傳[#「傳」は底本では「ぱ」]「此間《こないだ》話したね柳田の旦那が彼処《あすこ》で一杯飲んで居るが、一寸《ちょっと》お前さんに逢いたいと云って」
やま「有難うございますが、私《わたくし》は急ぎますから」
傳「お急ぎでしょうが、そんな事を云っちゃアいけねえ、此間《こないだ》ね、旦那にお頼《たのみ》の事はいけねえと云うと、手前《てめえ》は行《ゆ》きもしねえで嘘だと云って疑ぐられて居て詰らねえから、お前さん厭でも一寸|上《あが》って、
前へ
次へ
全303ページ中154ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング