いさえすれば直《すぐ》だからお逢いなさい」
典「逢うたって、それ程厭てえものを逢う訳にはいきません」
傳「それは工夫で、お前さんと二人で例の茶見世へ行って、旨くもねえ、碌なものはねえが、美《い》い酒を持って行って一ぱい遣《や》って、衝立《ついたて》の内に居るのだね、それで娘がお百度を踏んで帰《けえ》る所を引張込《ひっぱりこ》んで、お前さんが乙《おつ》う世辞を云って一杯飲んでお呉れと盃をさして、調子の好《い》い事を云うと、娘はあゝ程の宜《い》い人だ、あゝ云う方なら嫁に行《ゆ》きたいとずうと斯う胸に浮《うか》んだ時に、手を取って斯う酔った紛れに□ってしまうが宜い、こいつは宜い、これは早い、それで伯父さんに掛合うからいけないが、当人に貴方を見せてえ、これが私《わっち》は屹度《きっと》往《い》こうと思っている」
典「だけれども何かどうも赤面の至りだな、無暗《むやみ》に婦人を引張込んで宜しいかねえ」

        三十四

傳「宜しいたって、お前さんの様な人は近村《きんそん》に有りゃアしません、だからお前さんを見せたい、ちょっと斯《こ》う大めかしに着物も着替え、髪も綺麗にしてね」
典「何《ど
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