け》に云いますよ、彼《あ》れはなアとてもな無駄でございます」
傳「へえ何う云う訳で」

        三十三

多「いえ十六年|前《あと》に親父《おやじ》が行方知れずになって、今に死んだか生きたか知れない、音も沙汰もねえでございますが、ひょっと親父が存生《ぞんしょう》で帰った時は、親父に一言の話もしないで聟を取ったり嫁に行っては済まぬと云って、姉弟《きょうだい》で、あゝ遣《や》って、元服もせずに居りますくらいでござりやすから、何処《どこ》から何《なん》と云っても駄目でござりやす、聟でも取って遣りたいが中々|左様《そう》言ったって聴きアしませんから」
傳「それじゃアお父《とっ》さんが帰らねえでは相談は出来ませんか」
多「へえ親父が帰れば直《すぐ》に相談が出来ますが、帰らぬうちは駄目でござりやして、ひやア」
傳「弱りましたね、左様なら」
 と呆然《ぼんやり》帰って来て。
傳「へえ往って来ました」
典「いやもう待って居ました」
傳「へえ」
典「何《ど》うもね、お前は弁舌が宜《よ》し、何かの調子が宜《い》いから先方で得心するなら、多分のお礼は出来ぬが、直にうんと得心の上からは失礼の様だが、ま
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