で御ざりやすか、御近所に居りましても碌にお言葉も交《かわ》しませんで、何分不調法者で、此の後《ご》ともお心安く願います」
傳「へえ私《わっち》も何分お心易く願います、就《つ》いてはね、今|姉《ねえ》さんの処へ往ったのでげすが……あなたには姪御《めいご》さんでありますね」
多「へえ、おやまに」
傳「へえ姪御さんに逢ってお話をした処が、伯父さんさえ得心になれば宜《い》いと云う嫁の口が出来たので、誠に良《い》い口で、桑名川村の柳田典藏と云う大した立派な武士《さむれえ》だが、運が悪いとは云いながら此方《こっち》へ来て田地や何かも余程有り、また是から段々|殖《ふや》そうという売卜《うらない》に手習《てなれえ》の師匠に医者の三点張と云う此のくらい結構な事は有りませんが、彼処《あすこ》へお遣《や》りなすっては何うで、弟御《おとゝご》ぐるみ引取ると云うので、随分お為になる処でございますが」
多「おやまが貴方《あなた》に御挨拶致すに伯父が得心なれば構わぬと言いましたか」
傳「えゝ言いました」
多「何うも自分ではお断りが仕憎《しにく》いから、大概の事は私《わし》の処へ行って相談して呉れと、まず言抜《いいぬ
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