、色の白い好《い》い男で、女の様でございます、それで姉弟で遣《や》ってるのだが彼《あ》の位のは沢山《たんと》はありませんな」
武士「はゝあ、貴公は御存知かえ」
男「へい、私は白島村の廣藏《ひろぞう》親分の厄介で、傳次《でんじ》と申す元は魚屋でございますが、江戸を喰詰《くいつ》めてこんな処《ところ》へ這入って、山の中を歩き廻り、極りが悪くって成らねえが、金が出来ませんじゃア、江戸へ帰る事も出来ません身の上で」
武士「はゝア左様かえ、じゃア彼の婦人を御存知で」
傳「へい朝晩顔を見合せますからね」
武士「あゝ左様かえ、貴公|些《ちっ》と遊びに来て下さらんかえ、私は桑名川村《くわながわむら》だから」
傳「じゃア隣り村で造作アございません」
武士「拙者も江戸児で、江戸府内で産れた者に逢うと、江戸児は了簡が小さいせえか、懐かしく親類のような心持がしますよ」
傳「そうです、変な言葉の奴ばかりいますから貴方《あなた》のような方に逢うと気丈夫でげす、閑《ひま》で遊んで居りますから何時《いつ》でも参ります」
武士「何うだえ拙者宅《てまえたく》へ是を御縁としてな、拙者《てまえ》は柳田典藏《やなぎだてんぞう》
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