けお》りて、後《うしろ》から一刀婆に浴せかけ、横倒れになる処を踏掛《ふみかゝ》ってとゞめを刺したが、お梅は畳の上へ俯伏《うつぶし》になって、声も出ませんでぶる/\慄《ふる》えて居りました。ところへ見相《けんそう》変えて血だらけの胴金を引提《ひっさ》げて上って来ました。
永「あゝ危《あやう》い事じゃったな」
梅「はい」
永「確《しっ》かりせえ」
梅「確かりせえたって私は窃《そっ》と裏から逃げようと思ってる処に、鉄砲の音を聞いて今度ばかりは本当に死んだような心持になりましたよ」
永「毒喰わば皿まで舐《ねぶ》れだ、止《や》むを得ぬ、えゝ悪い事は出来ぬものじゃ、怖いものじゃア無いか」
梅「本当に怖い事ね」
永「此処《こゝ》に泊ったのが何うして足が附いたか、もう此処に長う足を留めて居る事は出来ぬ、広瀬の追分を越えるだけの手形が有るから差支《さしつか》えはないが、今夜此処を逃げて仕舞うと、死骸は有るし夜中に山路は越えられないから今夜は此処に寝よう」
梅「怖くって、寝られやアしません」
永「今夜は誰も尋ねて来《き》やアせんから」
梅「死骸は何うするの」
永「宜《えゝ》わ」
と又九郎夫婦の死骸をごろ
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