《いき》の止るようにうーんと睨合《にらみあ》いました時は側に居るお梅はわな/\慄《ふる》えて少しも口を利くことも出来ません。永禪は不図《ふと》後《うしろ》に火縄の光るのを見て、此奴《こいつ》飛道具《とびどうぐ》を持って来たと思うからずーんと飛掛り、抜打《ぬきうち》に胸のあたりへ切付けました。

        二十九

又「やア斬りやアがったな」
 と引金を引いてどんと打つ、永禪和尚は身をかわすと運の宜《い》い奴、玉は肩を反《そ》れてぷつりと破壁《やぶれかべ》を打貫《うちぬ》いて落る。又九郎は汝《おの》れ斬りやアがったなと空鉄砲《からでっぽう》を持って永禪和尚に打って掛るを引《ひ》っ外《ぱず》して、
永「猪口才《ちょこざい》な事をするな」
 と肩先深く斬下《きりさ》げました。腕は冴《さ》えて居るし、刃物《きれもの》は良し、又九郎横倒れに斃《たお》れるのを見て婆《ばゞあ》は逃出そうと上総戸《かずさど》へ手を掛けましたが、余り締りを厳重にして御座いまして、栓張《しんばり》を取って、掛金《かけがね》を外す間もございません、処《ところ》へ永禪は逃げられては溜らぬと思いましたから、土間へ駈下《か
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