るまで足溜《あしだま》りに己の家《うち》へ泊って居るのだ、彼奴《あいつ》ら二人が永禪和尚にお梅かも知れねえぜ、のう婆さん」
婆「それア何とも云えないよ」
又「酒をつけろ」
婆「酒をつけろたってお前」
又「宜《い》いからつけろ、表の戸締りをすっぱりして仕舞え、一寸《ちょっと》明けられねえ様に、しん張《ばり》をかってしまいな、酒をつけろ」
婆「酒をつけろたってお前さん無理酒《むりざけ》を飲んではいけないよ、無理酒は身体に中《あた》るから、忰が死んだからってもやけ酒はいけないよう」
又「もう死んだっても構うものか、身体に中ったってよい/\になって打倒《ぶったお》れて死んだって、何も此の世に思い置く事はない、然うじゃないか、お前《めえ》は己が死んだって、一生食うに困るような事はねえから心配しなさんな、己はもう何《な》にも此の世の中に楽しみはねえから、酒をつけろ」
 と燗鍋で酒を温《あたた》め、燗の出来るも待てないから、茶碗でぐいぐいと五六杯引っかけて、年は五十九でございますが、中々きかない爺《じゞい》、欄間に掛った鉄砲を下《おろ》して玉込《たまごめ》をしましたから。
婆「爺さんお前何をするのだ
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