え、また鹿でも打ちに往《ゆ》くのかえ」
又「えゝ黙って居ろ、婆さん己は奥へ行って掛合ってな、何処《どこ》までも彼奴ら二人に白状させるつもりだが、きゃアとかぱアとか云って逃げめえものでもねえ、若《も》し逃げに掛ったら、手前《てめえ》は此の細口《ほそくち》から駈出して、落合の渡しへ知らせろ、此方《こっち》は山手だから逃げる気遣《きづか》いはない、えゝ心配するな」
と山刀《やまがたな》を帯《さ》して片手に鉄砲を提《さ》げ、忍足《しのびあし》で来て破れ障子に手を掛けまして、窃《そう》っと明けて永禪和尚とお梅の居ります所の部屋へ参って、これから掛合《かけあい》に成りますところ、一寸一息つきまして。
二十八
又九郎は年五十九でございますが、中々きかん気の爺《おやじ》で、鉄砲の筒口《すぐち》を押し握ってそっと破れ障子を開けると、此方《こちら》はこそ/\荷拵《にごしら》えを致して居る処《ところ》へ這入って来ましたから、覚《さと》られまいと荷を脇へ片付けながら、
永「誰じゃ」
又「へい爺《じゞい》でございます」
永「おや是は/\、さア此方《こちら》へお這入りなさい、未《ま》だ寝ず
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