る身の越度《おちど》、本人が和尚さんとか納所とか云われる身の上になったからと云って、今|私《わし》が親父《おやじ》だと云っても、顔を知りますまいし、殊《こと》に向うは出家で堅固な処へ、何だか気が詰って往《い》けませんなれども、その話を聞いて一度尋ねて行《い》きたいとは思って心掛けては居りますが、たとえ是れで死にました処が、旦那様何でございます、まア其の本人《むこう》が坊主でございますから、死んだと云う事を風の便りに聞いて、本当の親と思えば、死んだ後《のち》でも悪《にく》いとは思いますまいから、お経の一遍位は上げてくれるかと思って、それを楽しみに致して居《い》る訳で」
永「なるほど然《そ》うかえ」
又「へえ……まことに長《なが》っ話《ぱなし》を致しまして」
婆「本当にお退屈様で嘸《さぞ》お眠うございましょう、此の通り酔うとしつこう御座いまして、繰返し一つことを申しまして……さア、此方《こっち》へお出でよう」
又「宜《いゝ》やな」
婆「誠にお邪魔さまで……さア…此方へお出でよ、また飲みたければお飲《あが》りな」
 と手を引いてお澤《さわ》と云う婆さんが又九郎を連れて部屋へ参りました跡で、

前へ 次へ
全303ページ中117ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング