り聞いて居りましたが、妙な事で、去年富山の薬屋、それお前さん反魂丹《はんごんたん》を売る清兵衞《せいべえ》さんと云う人が家へ来て、一晩泊って段々話を聞きました所が、私共の忰は妙な訳でねえ、良い出家に成られそうでございまして、越中の国高岡の大工町にある宗慈寺と云う寺の納所になって、立派な衣を着て居る[#「着て居る」は底本では「来て居る」]そうで」
永「はアそれは妙な事だなア、大工町《だいくまち》の宗慈寺と云うは真言寺じゃアないか」
又「はい真言寺で」
永「そこにお前の忰が出家を遂《と》げて居るのかえ」
又「はい名は何とか云ったなア、婆さんお前《めえ》知って居るか、あゝそうよ……いゝや、眞達と云う名の納所でございます」
永「左様か」
 とじろりっと横眼でお梅と顔を見合わした計《ばか》り、ぎっくり胸にこたえて、流石《さすが》の悪党永禪和尚も、これは飛んだ所へ泊ったと思いました。

        二十六

又「それで婆さんの云うのには、前の事をあやまって尋ねて行ったら宜かろうと云いますが、何だか今更親子とも云い難《にく》いと云うのは、女房子を打遣《うっちゃ》って女郎《じょろう》を連れて駈落す
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