露《ひろめ》もしてあったので、近辺の者も皆得心して爺さん婆さんを見送ったから、つい其の儘ずる/\べったりに二代目又九郎夫婦に成ったのでございます、あなた恰《ちょう》ど今年で二十三年になるが、住めば都と云う譬《たとえ》の通りで、蕨を食って此処に斯う遣《や》って潜んで居ますがねえ、随分苦労をしましたよ」
永「そうかねえ、苦労の果じゃがら万事に届く訳じゃのう、でも内儀《かみ》さんと真実|思合《おもいお》うての中じゃから、斯うして此の山の中に住んで居るとは、情合《じょうあい》だね」
又「情合だって婆さんも私も厭《いや》だったが、外《ほか》に行《ゆ》く所がなし詮方《しかた》がないから居たので」
永「じゃア富山の稲荷町で良い商人《あきんど》で有ったろうが、女房子はお前の此処に居る事を知らぬかえ、此の飛騨へは富山の方の者が滅多に来ないから知らぬのじゃなア」
又「えゝそれは私が家を出てから行方が知れぬと云って、家内が心配して亡《なく》なり、それから続いて家《うち》は潰れる様な訳で、忰《せがれ》が一人ありましたが、その忰平太郎と云う者は、仕様がなくって到頭お寺様か何かへ貰われて仕まったと云う事を、ぼんや
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