いて、迚《とて》も助からねえ様になると、その時私共を枕辺《まくらもと》へ喚《よ》んで、誠に不思議な縁でお前方は長く泊って下すったが、私はもう迚《とて》も助からねえ、どうもお前方は駈落者の様だが、段々月日も経って跡から追手も掛らぬ様子、何処《どこ》か是から指して行《ゆ》く所がありますかと云うから、私共《わたくしども》は何処も行く所はないが、まア越後の方へでも行こうと実は思うと云うと、そんなら沢山も有りません、金は僅《わず》かだが、この後《うしろ》の山の焚木《たきゞ》は家《うち》の物だから、山の蕨《わらび》を取っても夫婦が食って行くには沢山ある、また此所《ここ》を斯《こ》うすれば此所で獣物《けだもの》が獲れる、冬の凌《しの》ぎは斯う/\とすっぱり教えて、さて私の家《いえ》には身寄もなし婆《ばゝあ》も弱《よぼ》くれて居るから、私が命のない後《のち》はお前さん私を親と思って香花《こうはな》を手向《たむ》け、此処《ここ》な家の絶えぬようにしてお呉んなさらんか、と云う頼みの遺言をして死んだので、すると婆様《ばあさま》が又続いて看病疲れかして病気になり、その死ぬ前に何分頼むと言って死んだから、前に披
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