も妙だね、然うかね」
永「どうも妙だのう、それじゃアお前何かえ、江戸の者かえ」
又「いゝえ私《わたくし》はねえ旦那様富山|稲荷町《いなりまち》の加賀屋平六《かがやへいろく》と云う荒物御用で、江戸のお前さん下谷茅町《したやかやちょう》の富山様のお屋敷がございますから、出雲《いずも》様へ御機嫌伺いに参りまして、下谷に宿を取って居る時に、見物かた/″\根津へ往って引張《ひっぱ》られて登《あが》ったのが縁さねえ、処が此奴《こいつ》中々|手管《てくだ》が有って帰さないから、とうとうそれがお前さん道楽の初《はじま》りで酷《ひど》いめに遭いましたけれども、此奴の気象が宜《い》いものだから借金だらけで、漸々《だん/″\》年季が増して長いが、私の様な者でも女房《にょうぼ》にして呉れないかと云いますから、本当かと云うと本当だと申しますから、借金があっては迚《とて》もいかぬから、連れて逃げようと無分別にも相談をしたのが丁度三十七の時ですよ、それからお前さん連れて逃げたんだ、国には女房子《にょうぼこ》が有るのに無茶苦茶に此奴を引張《ひっぱ》って逃げましたが、年季は長いし、借金が有るから追手《おって》の掛るのを
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