私《わし》を殺す気じゃな」
とどん/″\/″\/″\と死物狂《しにものぐる》い、縋《すが》り付いて来る奴を、
永「えゝ知れたこっちゃ、静かにしろ」
と鳩尾《みぞおち》の辺《あたり》をどんと突きまする。突かれて仰向《あおむき》に倒れる処を乗掛《のッかゝ》って止《とゞ》めを刺しました処が、側に居りましたお梅は驚いて、ぺた/\と腰の抜けたように草原《くさはら》へ坐りまして、
梅「旦那」
永「えゝ確《しっ》かりせえ」
梅「確かりせえと云ったって、お前さん酷《ひど》い事をするじゃないか、眞達さんを殺すなら殺すと云ってお呉れなら宜《い》いに、突然《だしぬけ》で私は腰が抜けたよ」
永「えゝもう宜《よ》いや、そんな意気地《いくじ》のない事で成るか」
と眞達の着物で血《のり》を拭って鞘に納め、
永「さア来い」
と無暗に手を引いて渡場《わたしば》へ参り、少しの手当を遣って渡しを越え、此処から笹沢《さゝざわ》、のり原《ばら》、いぼり谷《たに》、片掛《かたかけ》、湯《ゆ》の谷《たに》と六里半余の道でござりますが、これから先は極《ごく》難所《なんじょ》で、小さい関所がござりますから、湯の谷の利助《りすけ
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