が開《あ》いて、渡しを渡って此処《こゝ》へ来る者が有れば、何でも三人だと、何う姿を隠しても坊主頭は後《うしろ》から見れば毛の無いのは分るから、眞達手前はなア三拾両|金《かね》遣《や》るがなア、此処から別れて一人で行《い》んでくれ、己はお梅を連れて高山越えをする積りだから」
眞「私《わし》も其の方が宜《え》いのでげす、斯《こ》うやって三人で歩くと、私はお梅はんを労《いたわ》り、あんたは無暗に駈けるから歩けやアしない、どうも私は草臥れていかぬ、それじゃア三十両お呉んなさい、その方が私は仕合せじゃ」
永「うん然《そ》うか、今金を遣るから、若《も》し渡し口の方から此方《こっちゃ》へ人でも来ると何うも成らぬから、模様を見て居てくれ、金の勘定をするからよう、封を切って算《かぞ》える間向うを見て居ろよ」
眞「まだ渡しは開きやアしません、この霙の吹ッかけでは向うから渡って来やアしますまい」
 と眞達が浮《うっ》かり渡し口に眼を着けて居りますると、腰に差して居りましたる重ね厚《あつ》の一刀を抜くより早く、ぷすりっと肩先深く浴《あび》せますと、ごろり横に倒れましたが、眞達は一生懸命、
眞「やアお師匠さん、
前へ 次へ
全303ページ中101ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング