じゃアぞ、己《おの》れ出家の身の上で賭博を為《す》るとは怪《け》しからん、えゝ何じゃア其様《そん》な穴塞ぎの金を私《わし》にを借《かり》るとは何ういう心得じゃア」
眞「それは重々《じゅう/\》悪いがな、あれから帰って庄吉の部屋で賭博して居りますと、其処《そこ》へ二番町の町会所から手が這入ったので」
永「それ見ろ、えらい事になった、寺へ手の這入るというは此の上もない恥な事じゃアないか、どゞゞ何うした」
眞「私《わし》も慌《あわ》てゝな庭の物置の中へ隠れまして、薪の間に身を潜めて居りますると、庄吉め本堂の縁《いん》の下へ逃げて這込んで見ると、先に一人隠れて居《え》る奴が、ちま/\と其処に身を潜めて寝《ねま》って居ります所へ、庄吉が其奴《そやつ》の帯へ一心に噛《かじ》り付いて居《え》る所へ、どか/\と御用聞《ごようきゝ》が這入《はえ》って来て、庄吉の帯を取ってずる/\と引出すと、庄吉が手を放せば宜《え》いに、手を放さぬで居《え》たから、先に這入《はえ》った奴と一緒に引ずり出されて来る、庄吉は直《すぐ》に縛られてしまい、又是は何者か顔を揚げいと髻《たぶさ》を取って引起すと若《も》し……此処《こゝ》な家《うち》の夫《とゝま》の七兵衞さんの死骸が出たのじゃが」
永「えゝ何……死骸それは……どゞどうして出た」
眞「何うして出たもないもんじゃ、あんたは此所《こゝ》なお梅はんと深い中になって、七兵衞さんが在《あ》っては邪魔になるからと云うので、あんた七兵衞さんを殺して縁《いん》の下へ隠したじゃろう、隠さいでも宜《え》いじゃアないか、えゝ左様《そう》じゃないか、直ぐに庄吉は縛られて二番町の町会所へ送られ、私《わし》は物置の中に隠れて居《え》て見付からなかったから、漸《ようよ》う這出して、皆出た後《あと》でそうっと抜出して此処まで来たのでげすがな、私がぐずぐずしてると直《すぐ》に捕《つか》まります、捕まって打叩《ぶちはた》きされて見れば、庄吉は知らぬでも私は貴方《あんた》が楽しんで居《え》る事は知って居《え》るから、義理は済まぬと思いながらも打《ぶ》たれては痛いから、実は師匠の永禪和尚はお梅はんと悪い事をして居ります、それ故七兵衞さんを殺して縁《いん》の下へ隠したのでございましょうと私が云うたら、あんたも直に縛られて行って、お処刑《しおき》を受けんではなるまいが、そうじゃないか」
永「ふ
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