》か六歳《むツつ》ぐらゐの乞食《こじき》の児《こ》が、紅葉《もみぢ》のやうな可愛《かあい》らしい手を出して、父親《おや》の足を摩《さす》つて居《を》ります。
 主「おゝ/\……お美那《みな》、可愛想《かあいさう》ぢやアないか……見なよ……人品《ひとがら》の好《よ》い可愛《かあい》らしい子供《こぞう》だが、生来《はら》からの乞食《こじき》でもあるまいがの……あれまア親父《おやぢ》が負傷《けが》をしたといふので、彼《あ》の可愛《かあい》らしい手を出して膝《ひざ》の下《した》を撫《なで》て遣《や》つて居《ゐ》る、あゝ/\可愛《かあい》い児《こ》だ、今《いま》のう良《よ》い薬《くすり》を遣《や》るよ、……煙草《たばこ》の粉末《こな》ぢやア却《かへ》つて可《い》けない、良《よ》い薬《くすり》が有《あ》るから……お美那《みな》や其粉薬《そのこぐすり》を出《だ》して遣《や》んな……此薬《これ》は他《ほか》にない能《よ》く効《き》く薬《くすり》だからな……血止《ちど》めには善《よ》く効《き》くし、直《す》ぐに痛《いたみ》が去《さ》るから、此薬《これ》を遣《や》るから此方《こつち》へ足を出しな。乞「はい
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