が出て困りますが、お慈悲《なさけ》に何卒《どうか》お煙草《たばこ》の粉末《こな》でも少々《せう/\》頂《いたゞ》きたいもので……エー/\粉末《こな》で宜《よ》いのでございますがな。此家《うち》では賓客《きやく》の帰《かへ》つた後《あと》と見えまして、主人《あるじ》が店《みせ》を片付《かたづ》けさせて指図《さしづ》致《いた》して居《を》りますところへ、表《おもて》から声《こゑ》を掛《か》けますから、主「何《な》んだ……お美那《みな》や何者《なに》か表《おもて》で言つてるぜ。み「なにね新入《しんまい》の乞食《こじき》が参《まゐ》りまして、ソノ負傷《けが》をしたからお煙草《たばこ》の粉末《こな》を頂《いたゞ》きたいつて……。主「然《さ》うか、乞食《こじき》か……待《ま》ちな/\、今《いま》乃公《おれ》が見て遣《や》るから……。と雨戸《あまど》を引いて外の格子《かうし》をがらがらツと明けまして燈明《あかり》を差出《さしだ》して見ると、見る影もない汚穢《きたな》い乞食《こじき》の老爺《おやぢ》が、膝《ひざ》の下《した》からダラ/″\血の出る所を押《おさ》へて居《ゐ》ると、僅《わづ》か五歳《いつゝ
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