坊《ばう》が摩《さ》すつて上《あ》げようか。父「まアまア何《なに》しろ斯《こ》う歇《や》みなしに雪が降《ふ》つては為方《しかた》がない、此家《こ》の檐下《のきした》を拝借《はいしやく》しようか……エー最《も》う日が暮《く》れたからな、尚《な》ほ一倍《いちばい》北風《きたかぜ》が身に染《し》むやうだ、坊《ばう》は寒くはないか。子「あいお父《とつ》ちやん、坊《ばう》は寒くはないけれども、お父《とつ》ちやんが痛からうと思つて……。父「ン、ンー能《よ》く労《いたは》つて呉《く》れるの。子「お父《とつ》ちやん摩《さす》つて上《あ》げようか。父「ンー摩《さす》つて呉《く》れ。子「此処《こゝ》のところかえ……。父「あゝ……有難《ありがた》うよ……何《ど》うもピリ/\痛んで堪《たま》らない……深く切つたと見えて血が止まらない……モシ少々《せう/\》お願ひがございますがな、お軒下《のきした》を少々《せう/\》拝借《はいしやく》致《いた》します……就《つ》きまして私《わたくし》は新入《しんまい》の乞食《こじき》でございまして唯今《たゞいま》其処《そこ》で転《ころ》びましてな、足を摺破《すりこは》しまして血
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