衛《かはちやきんべゑ》でげすよ。乞「へえー……河内屋《かはちや》さん……エーまア道理《だうり》こそ、此砂張《このすばり》の建水《こぼし》がお目《め》に留《と》まるといふのは、余程《よほど》お嗜好者《すきしや》とは存《ぞん》じましたが……貴方《あなた》は河内屋《かはちや》さんでございましたか……思《おも》ひ掛《が》けないことで……。主「どうも誠に思ひ掛《が》けないことでお前《まへ》さんに邂逅《あひ》ました、未《ま》だお目《め》には掛《か》からなかつたが、今度《こんど》はお眤近《ちかづき》にならう……まア此時節《このじせつ》が変《かは》つて貴方《あなた》は斯《か》う御零落《ごれいらく》になつて、何《な》んとも云《い》ひやうがない、拙者《てまへ》はマアどうやら斯《か》うやら、斯《か》うやつて居《を》りますが本当《ほんたう》においとしいことだ……。妻「お噂《うはさ》には毎度《まいど》承《うけたま》はつて居《を》りましたよ、立派《りつぱ》なお住宅《すまひ》でお庭《には》は斯《か》う、何《なに》は斯《か》うと、能《よ》くまア、何《な》んでございますよ、名草屋《なくさや》の金《きん》七といふ道具屋《
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