、最《も》う汝《きさま》生涯《しやうがい》出来《でき》ないぞ。子「あい……旦那様《だんなさま》お有難《ありがた》うございます。と可愛《かあい》らしい手を突《つ》いて、頸《くび》を横にして挨拶《あいさつ》をします挙動《やうす》が手の突《つ》きやうから、辞儀《じぎ》の仕方《しかた》がなか/\叮嚀《ていねい》でげす。主「ンー……お前様《まへさん》も何《な》んだらうね……。乞「へい/\。主「以前《いぜん》は然《しか》るべきお方《かた》の成《な》れの果《はて》で、まア此時節《このじせつ》が斯《か》う変《かは》つたから、当時《いま》然《さ》ういふ御身分《ごみぶん》に零落《おちぶ》れなさつたのだらうが、何《ど》うもお気の毒なことで…。乞「はい旦那様《だんなさま》私《わたくし》も、賓客《きやく》を招《よ》ぶ時《とき》には八百膳《やほぜん》の仕出《しだし》を取寄《とりよ》せまして、今日《けふ》の向付肴《むかうづけ》が甘酢《あまず》の加減《かげん》が甘味過《あます》ぎたとか、汁《しる》が濃過《こす》ぎたとか、溜漬《たまりづけ》が辛過《からす》ぎたとか小言《こごと》を云《い》つた身分《みぶん》でございますが
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