角《せつかく》のお厚情《なさけ》でございますから、御遠慮《ごゑんりよ》申上《まうしあげ》ませぬでお言葉《ことば》に従《したが》つて、御免《ごめん》を蒙《かうむ》ります。主「どうもお人品《ひとがら》なことだ、違《ちが》ふのうー……さア/\此方《こつち》へお入《はい》り。乞「へい/\。主「足が汚《よご》れて居《ゐ》るな……これ/\徳次郎《とくじらう》/\。徳「はい。主「此処《こゝ》へ来《き》ての、此乞食《このこじき》の足を洗つて遣《や》れ。徳「乞食《こじき》の足《あし》イ……ンー/\/\。主「何《なに》を云《い》つて居《ゐ》る、当時《いま》は事由《ゆゑ》あつて零落《おちぶ》れてお出《い》でなさるが、以前《もと》は立派《りつぱ》なお方《かた》で、士族《しぞく》さんだか何《なん》だか知《し》れないんだよ、大事《だいじ》にしてお上《あ》げ、陰徳《いんとく》になるから。徳「(小声《こごゑ》)陰徳《いんとく》でも乞食《こじき》の足を洗ふのは忌嫌《いや》でございますなア。とグヅ/\云《い》ひながら、忌嫌々々《いや/\》足を洗つて遣《や》る。乞食《こじき》は頻《しき》りに礼《れい》を云《い》ひながら雑巾
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