詰《つま》らねえ事《こと》を腹ア立てやアがつて、たつた一人の血を分けた兄の己《おれ》を置去《おきざ》りにしやアがつてよ、是《こ》れと云《い》ふのも己《おれ》の眼《め》が悪いばつかりだ、あゝ口惜《くや》しい、何《ど》うかしてお竹《たけ》や切《せ》めて此《こ》の眼《め》を片方《かた/\》でも宜《い》いから明けてくんなよ。女房「明けてくんなと云《い》つて、私《わたし》ア医者《いしや》ぢやアなし、そんな無理なことを云《い》つたツて私《わたし》がお前《めへ》の眼《め》を明《あけ》る訳《わけ》にはいかないが、苦しい時の神頼《かみだの》みてえ事も有るから、二人で信心《しん/″\》をして、一生懸命になつたら、また良《い》いお医者《いしや》に出会《であ》ふことも有らうから、夫婦で茅場町《かやばちやう》の薬師《やくし》さまへ信心《しん/″\》をして、三七、二十一|日《にち》断食《だんじき》をして、夜中参《よなかまゐ》りをしたら宜《よ》からう。と是《これ》から一生懸命に信心《しん/″\》を始めました。すると一心《いつしん》が通《とほ》りましてか、満願《まんぐわん》の日に梅喜《ばいき》は疲れ果てゝ賽銭箱《さい
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