だ」
丈「静かに/\、生憎《あいにく》今日は晦日《みそか》で金円《きんえん》が入用《いりよう》で、纒《まと》まった金は出来んが、此処《こゝ》へ五十円持って来たから、是だけ請取《うけと》って置いてくれ、残金《あときん》は来月五日の晩には遅くも十二時までに相違なく君の宅《たく》まで持って往《ゆ》くから待って居てくれたまえ」
又「だから百円だけ持って来てくれというに、刻《きざ》むなア、五十円ばかりの破れ札《さつ》だが、受取って置こう、そんなら来月五日の晩の十二時までに、宜《よろ》しい心得た、千円だぜ」
丈「千円の所は遣《や》るめえもんでもないが、君、助右衞門を殺した時三千円の預り証書を着服したろうから、あれを返して呉れなければいかんぜ」
又「そんなものは有りゃアしねえが、又君が軽く金を持って来て、此の外《ほか》に百円か二百円|遣《や》るからと云えば、預り証書も出めえもんでもねえから、五日の晩には待ち受けるぜ」
丈「もう宅《うち》へ帰るか」
又「五十円の金が入《へい》ったから、直《すぐ》に帰ろう、えゝ寒かった、一緒に往《ゆ》こう」
丈「君は大きな声で呶鳴《どな》るから困るじゃアないか、僕は先へ
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