掛けやんす、清次どん力になって、どうぞ子供|等《ら》二人を可愛《かわい》がっておくんなさいよ」
 と涙ながらに物語りましたから、清次も貰い泣きをして。
清「へい/\それはまアお気の毒な訳で、及ばずながら、何の様《よう》にもお世話を致しますが、私《わっち》も貧乏で有りやすから大《たい》した事も出来ますめえが、あなた方三人ぐれい喰わせるのに心配は有りません」
 と云いながら、おまきに向い。
清「お嬢さん、此処《こゝ》にいらっしゃるのは御子息様でございやすか、始めてお目にかゝります」
重「私《わし》は重二郎と申しやす不調法《ぶちょうほう》ものですが、どうか何分宜しく願います」
清「へい/\及ばずながらお世話致しましょう、私《わっち》はもう帰《けえ》りやす、沢山《たんと》の持合《もちあわ》せはございませんが此処《こゝ》に金が十円有りますから、置いてまいります、お足しには成りますめえが、又四五日の内に手間料が取れると持って来ます」
重「これはどうも戴いては済みません」
 と推返《おしかえ》すを又|押戻《おしもど》して。
清「あれさ取って置いて下せえ、七年|前《あと》に出た旦那が帰《けえ》らねえの
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