つや》とか洋物屋《ようぶつや》とかを始めると云って横浜から東京へ買《け》え出しに出たんだよ、ところが他に馴染《なじみ》の宿屋がねえと云って、春見丈助様は前橋様《めえばしさま》の御重役で、神田の佐久間町へ宿屋を出したと云うから、其処《そこ》に泊っていて買《け》え出しをすると云って、家《うち》を出たぎり帰《けえ》らず、余《あんま》り案じられて堪《たま》んねえから、重二郎を捜しにやった所が、此方《こっち》へ来た事は来たが、直《す》ぐ横浜へ往ったが、未《まア》だ帰《けえ》らねえかと云われ、忰《せがれ》も驚いて帰《けえ》り、手分《てわけ》をして諸方を捜したが、一向に知れず、七年|以来《このかた》手紙も来《こ》ねえからひょっと船でも顛覆《ひっくりか》えって海の中へ陥没《ぶちはま》ってしまったか、又は沢山金を持って居りやしたから、泥坊に金を奪《と》られたのではないかと、出た日を命日と思っていたが、抵当に入れた田地家蔵《でんじいえくら》は人に取られ、身代限りをして江戸へ来ても馴染がねえから、何をしても損をしたんだよ、貧乏の苦労をするせいか、とうとう終《しまい》に眼は潰《つぶ》れ、孝行な子供二人に苦労を
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