くれをいたし、仕手方《してかた》を使う身分に成りましたから、前橋の方へ御機嫌伺いにまいりましょうと思って居りやす所へ、嬉しい一生懸命で拝んだ観音様だから忘れは仕ません、その観音様から清水様のお嬢さんという事が分り、誠に不思議な事でございます、大《たい》した事も出来ませんが、是から先は及ばずながら力になります心持《こゝろもち》でございます、気を落してはいけません、確《しっ》かりしておいでなさい、旦那は七年|前《あと》東京へお出でなされ、お帰りのないのに捜しもしなさらないのかね」
母「はい、能《よ》くまア恩を忘れず尋ねておくんなさいました、今まで情《なさけ》を掛けた者はあっても、此方《こっち》が落目《おちめ》になれば尋ねる者は有りませんが貴方《あんた》も知ってる通り、段々世の中が変って来て、お屋敷がなくなったから御用がない所から、止《よ》せばえゝに、種々《いろ/\》はア旦那どんも手を出したが皆《みん》な損ばかりして、段々|身代《しんでい》を悪くしたんだア、するともう一旗揚げねえばなんねえと云って、田地《でんじ》も家《いえ》も蔵も抵当とやらにして三千円の金を借り、其の金を持って唐物屋《とうぶ
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