はい、只今明けますよ、棟梁さん早く二階へ上《あが》っておいでよ、はい今明けますよ、棟梁さん早く二階へ上ってお出《い》でよ[#「お出《い》でよ」は底本では「お出《い》よ」と誤記]…はい今明けますよ…私が様子を宜《よ》くして、あの子を欺《だま》して二階へ上げるから、お前さんが彼《あ》の娘の得心するように旨く調子よく、そこは棟梁さんだから万一《ひょっと》して岡惚れしないものでもないよ、はい只今明けますよ…あの道は又|乙《おつ》なものだから…はいよ、今明けますよ…あの子の頸玉《くびたま》へ□□[#底本2字伏字]り附いて無理に□[#底本1字伏字]いておしまいよ…今明けますよ…早く二階へお上《あが》り」
 と云われ、清次は煙草盆を手に提《さ》げ二階へ上るのを見て、婆《ばゞあ》は土間へ下《お》り、上総戸《かずさど》を明け。
虎「さアお入り、まアちゃん先刻《さっき》は悪い事をいって堪忍《かんにん》しておくれよ、詰らねえ事を催促《さいそく》して、何《なん》だかお母《っか》さんの大事なものだって…お厨子入《ずしい》りの仏さまを本当に持って来なければ宜《よ》かったと思っていたが、私もつい酔った紛《まぎ》れで
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