かげ》ているよ」
清「いくら苦しくても其の方が本当だ、其のまさか[#「まさか」に傍点]と云う処が此方《こっち》の望みだ」
虎「外《ほか》の好《い》い少女《すもる》を呼んで遊んでおいでな、あんなものを□□[#底本2字伏字]て寝ても石仏《いしぼとけ》を□□[#底本2字伏字]て寝るようなもので、些《ちっ》とも面白くもなんともないよ」
清「己《おれ》はそれが望みだ、あの焼穴《やけあな》だらけの前掛けに、結玉《むすびったま》だらけの細帯で、かんぼ窶《やつ》して居るが、それで宜《い》いのだから本当にいゝのだ」
虎「棟梁は余程《よっぽど》惚《ほ》れたねえ、だが仕方がないよ」
清「己も沢山《たんと》は出せねえが、只《たっ》た一度で十円出すぜ」
虎「え、十円……鼻の先に福がぶら下《さが》ってるに、三円の金に困ってるとは、本当に馬鹿な女だ」
と話している所へおまきが門口へ立ちまして、
ま「伯母《おば》さん、御免なさい」
虎「はい、どなたえ」
ま「あのまきでございますが」
という声を聞き。
虎「おい棟梁、一件が来たよ、隣のまアちゃんが来たってばさア」
清「なに来たア極《きま》りが悪《わり》いなア」
虎「
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