まして、弟《おとゝ》も車を挽《ひ》いて稼ぎますが」
米「おい/\お母《っか》さんが眼病で、弟御《おとうとご》が車を挽く事はお前さんが番毎《ばんごと》云いなさるから、耳に胼胝《たこ》のいる程だが、姉《ねい》さんまアお母さんはあゝやって眼病で煩《わずら》ってるし、兄《にい》さんは軟弱《かぼそ》い身体で車を挽いてるから気の毒だと思い、猶予《ゆうよ》をして盆の払いが此の暮まで延々《のび/\》になって来たのだが、来月はもう押詰《おしつま》り月《づき》ではありませんか、私も商売だから貸すもいゝが、これじゃア困るじゃアないか、私は人が好《い》いから、お前方も顔向けが出来まいと察して来ないのだが、私が米を売らなけりゃお前さん喰わずに居ますかえ、それもこれだけ払うから後《あと》の米を貸して下さいと云えば、随分貸してもやろうが、間《ま》が悪いと云って外《ほか》の米屋で買うとは何《なん》の事だえ、勧解《かんかい》へでも持出さなければならない、勘定をしなさい」
ま「それでは誠に困ります」
重「あの姉さん少しお待ちなさい、貴方《あんた》の方のお払いは何程《なにほど》溜《たま》って居りやすか」
米「えゝ二円五十銭
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