りました。これから助右衞門の女房《にょうぼう》や忰《せがれ》が難儀を致しますお話に移りますのでございますが、鳥渡《ちょっと》一息|吐《つ》きまして申上げます。
四
春見丈助は清水助右衞門を殺し、奪取《うばいと》った三千円の金から身代を仕出し、大《たい》したものになりましたのに引替え、助右衞門の忰《せがれ》重二郎は人力を挽《ひ》いて漸々《よう/\》其の日/\を送る身の上となりましたから、昔馴染《むかしなじみ》の誼《よし》みもあると春見の所へ無心に参れば、打って変った愛想《あいそ》づかし、実に悪《にく》むべきは丈助にて、それには引替え、娘おいさの慈悲深く恵んでくれた三円で重二郎は借金の目鼻を附け、どうやら斯うやら晦日《みそか》まで凌《しの》ぎを附けると、晦日には借金取が来るもので、お客様方にはお覚えはございますまいが、我々どもの貧乏社会には目まぐらしい程まいります。
米屋「はい御免よ、誠に御無沙汰をしました、時にねえ余り延々《のび/\》に成りますから、今日は是非お払いを願いたいものだ」
まき「誠にお気の毒さまで、毎度おみ足を運ばせて済みませんが、御存じの通り母が眼病でござい
前へ
次へ
全151ページ中64ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング