ば遣《つか》ってしまい、なくなれば又借りに来る、是《こ》れだけの金主《きんしゅ》を見附けたのだから僕の命のあらん限《かぎり》は君は僕を見捨《みすて》ることは出来めえぜ」
丈「明後日《あさって》は晦日《みそか》で少し金の入る目的《めあて》があるから、人に知れんような所で渡してえが、旨い工夫はあるまいか」
又「それは訳《わきゃ》アねえ、僕が鍋焼饂飩を売ってる場所は、毎晩|高橋《たかばし》際《ぎわ》へ荷を降《おろ》して、鍋焼饂飩と怒鳴《どな》って居るから、君が饂飩を喰う客の積《つも》りで、そっと話をすれば知れる気遣《きづかい》はあるめえ」
丈「そんなら遅くも夜の十二時頃までには往《ゆ》くから、十一時頃から待ってゝくれ」
又「百円は其の時|屹度《きっと》だよ、千円もいゝかね」
丈「千円の方は遅くも来月中旬までには相違なく算段するよ、これだけの構《かまえ》をしていても金のある道理はない、七ヶ年の間皆|遣《や》り繰《く》りでやって来たのだからよ」
又「じゃア飯を喰って帰《けえ》ろう」
とずう/\しい奴で、種々《いろ/\》馳走になり、横柄《おうへい》な顔をして帰りました故、奉公人は皆不思議がって居
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