》きに驚き、銭貰いかと思い、怪《け》しからん失敬な取扱いをしたが、それはまア宜《よろ》しいが、君はまア図《はか》らざる所へ御転住《ごてんじゅう》で」
丈「いや実にどうも暫《しばら》くであった、どうしたかと思っていたが、七《しち》ヶ年《ねん》以来《このかた》何《なん》の音信《おとずれ》もないから様子が頓《とん》と分らんで心配して居ったのよ」
又「さア僕も此の頃帰京いたしお話は種々《いろ/\》ありますが、何しろ雇人の耳に入っては宜しくないから、久々だから何処《どこ》かで一杯やりながら緩々《ゆる/\》とお話がしたいね」
丈「此方《こっち》でも聞きてえ事もあるから、有合物《ありあいもの》で一盞《いっぱい》やろう」
 と六畳の小間《こま》へ這入《はい》り、差向い、
丈「此処《こゝ》は滅多に奉公人も来ないから、少しぐらい大きな声を出しても聞《きこ》えることじゃアねえ、話は種々《いろ/\》あるが、七年前旅荷にして持出《もちだ》した死骸は何うした」
又「それに就《つい》て種々《いろ/\》話があるが、彼《あ》の時死骸を荷足船《にたりぶね》で積出《つみだ》し、深川の扇橋から猿田船《やえんだぶね》へ移し、上
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