い訳があるのだ、一体|手前《てめえ》妙な面《つら》だ、半間《はんま》な面だなア、面が半間だから云う事まで半間だア」
利「おや/\失敬な事を云うぜ」
又「さア手前《てめえ》じゃア分らねえ、直《す》ぐに主人に逢おう」
利「いけません、いけません」
又「いけんとは何《なん》だ、通さんと云えば踏毀《ふみこわ》しても通るぞ」
利「そんな事をすると巡査を呼んで来ますよ」
又「呼んで来い/\、主人に逢《あお》うと云うのだ、何を悪い事をした、手前《てめえ》の知った事じゃアねえ」
と云いながら又作が無法に暴れながら、ずッと奥へ通りますと、八畳の座敷に座布団の上に坐り、白縮緬《しろちりめん》の襟巻《えりまき》をいたし、咬《くわ》え烟管《ぎせる》をして居ります春見丈助利秋の向《むこう》へ憶《おく》しもせずピッタリと坐り、
又「誠に暫《しばら》く、一別已来《いちべついらい》御壮健で大悦至極《たいえつしごく》」
丈「これさ誰《たれ》か取次をせんか、ずか/\と無闇に入って来て驚きましたわな」
又「なにさ、僕が斯様《かよう》な不体裁《ふていさい》な姿《なり》でまいったゆえ、君の所の雇人奴《やといにんめ》が大《おお
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