ればお前の為にならん」
重「誠にお恥かしい事でございますが、一昨々日《さきおとつい》から姉も私《わし》もお飯《まんま》を喫《た》べません、お粥《かゆ》ばかり喫べて居ります、病人の母が心配しますから、お飯があるふりをしては母に喫べさせ、姉も私も芋を買って来て、お母《ふくろ》が喫べて余ったお粥の中へ入れ、それを喫べて三日|以来《このかた》辛抱して居りましたが、明日《あす》しようがねえ、何うしたら宜《よ》かろうかと思って、此方《こちら》へ出ました訳でございますから、若《も》しお恵みが出来なければ、私だけ此方《こちら》の家《うち》へ無給金で使って呉れゝば私|一人《いちにん》の口が減るから、そうすれば姉が助かります、どうか昔馴染《むかしなじみ》だと思って」
丈「これ/\昔馴染とは何《なん》の事だ、屋敷にいる時は手前の親を引立《ひきた》ってやった事はあるが、恩を受けたことは少しもない、それを昔馴染などとは以《もって》の外《ほか》のことだ、一切《いっせつ》出来ません、奉公人も多人数《たにんず》居って多過ぎるから減《へら》そうと思っているところだから、奉公に置く事も出来ません帰えって下さい、此の開明の
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