に気の毒だが出来ません、お前も血気な若い身分でありながら、車を挽《ひ》いてるようではならん、当節は何をしても立派に喰える世の中だのに、人の家に来て銭《ぜに》を貰うとは余り智慧《ちえ》のないことだお前はお坊さん育ちで何も知るまいが、人が落目《おちめ》になった所を※[#「※」は「「愍」で「民」のかわりに「求」をあてる」、517−2]《なまじ》いに助ければ、助けた人も共に倒れるようになるもので、たとえば車に荷を積んで九段のような坂を引いて上《あが》って力に及ばんで段々下へ落《おち》る時、只《たっ》た一人でそれを押えて止めようとすると、其の人も共に落ちて来て怪我をするようになるから、それよりも下《くだ》り掛った時は構わないで打棄《うっちゃ》って置いて其の車が爼橋《まないたばし》まで下ってから、一旦《いったん》空車《からぐるま》にして、後《あと》で少しばかりの荷を付けて上げた方が宜《よろ》しいようなもので、今|※[#「※」は「「愍」で「民」のかわりに「求」をあてる」、517−7]《なまじ》いに恵むものがあってはお前のためにならん、人の身は餓死するようにならんければ奮発する事は出来ない、それでなけ
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