せま》る身の上に成りまして、何うしようと思っていた処、春見様が此方《こっち》においでなさるという事が知れましたから、願ったら出来ようかと思って姉と相談の上で出ましたが、親子三人助かりますから、どうかお恵みなすって下さいまし」
と泣きながらの物語に春見も気の毒千万な事に思い、せめては百円か二百円恵んで遣《や》ろうかと思ったが、いや/\※[#「※」は「「愍」で「民」のかわりに「求」をあてる」、516−7]《なまじ》いに恵み立てをすると、彼《あ》の様な見苦しい者に多くの金を恵むのは変だという所から、其の筋の耳になって、七《しち》ヶ年前《ねんぜん》の事が顕《あら》われては遁《のが》れ難《がた》き我《わが》身の上ゆえ、寧《いっ》そ荒々しく云って帰した方が宜《よろ》しかろうと思いまして、
丈「重二郎さん、誠に気の毒だが貸す事は出来ない、そう云う事を云って歩いても貸す人はないよ、難儀をするものは世間には多人数《たにんず》あって、僕は交際も広いから一々恵み尽《つく》されません、そうして故《ゆえ》なく人に恵みをすべきものでもなく、又故なく貰うべきものでもなく、其の儀は奉公人にも言い付けてあることで、誠
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