持って往《ゆ》き、親達と相談の上で菩提所《ぼだいしょ》へ葬《ほうむ》る積りだが、手前《てまえ》にそう見顕《みあら》わされて誠に困ったが、金を遣《や》るから急いで足利在《あしかゞざい》まで引いてくれ」
車「そう事が定《きま》れば宜《い》いが…なんだって女子《おんなッこ》と色事をして子供を出かし、子を堕胎《おろ》そうとして女が死んだって…人殺しをしながら惚気《のろけ》を云うなえ、もう些《ちっ》と遣《よこ》しても宜《い》いんだが、二十両に負けてくれべい、だが臭《くせ》い荷を引張《ひっぱ》って往《ゆ》くのは難儀だアから、彼処《あすこ》の沼辺《ぬまべり》の葦《よし》の蔭《かげ》で、火を放《つ》けて此の死人《しびと》を火葬にしてはどうだ、そうして其の骨を沼の中へ打擲《ぶっぽ》り込んでしまえば、少しぐれえ焼けなくっても構った事はねえ、もう来月から一杯《いっぺい》に氷が張り、来年の三月でなければ解けねえから、知れる気遣《きづか》えはねえが、どうだえ」
又「これは至極妙策、成程|宜《い》い策だが、ポッポと火を焚《た》いたら、又巡行の査官《さかん》に認められ、何故《なぜ》火を焚くと云って咎《とが》められや
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