んぺい》して来たのだよ」
文「それは変だ、私《わし》が証拠人だ、春見屋へ往って掛合ってあげやしょう旦那は来たに違いねえんだ、春見屋は此の頃様子が直り、滅法景気が宜《よ》くなったのは変だ」
重「文吉、汝《われ》一緒に往って、確《しっか》り掛合ってくれ」
文「さアお出《い》でなさい」
と親切者でございますゆえ、先に立って春見屋へ参り。
文「此間《こないだ》は暫《しばら》く、あの清水の旦那が此方《こちら》へ泊ったのは私《わっち》が慥《たし》かに知ってるが、先刻《さっき》此の若旦那が尋ねて来たら、来《こ》ねえと云ったそうだから、また来やしたが、此の文吉が証拠人だ、なんでも旦那は入らしったに違いないから、お取次を願います」
女「はい一寸《ちょっと》承って見ましょう」
と奥へまいり、此の事を申すと、春見はぎっくり胸に当りましたが、素知らぬ顔にもてなして、此方《こっち》へと云うので、女中が出てまいり、
女「まア、お通りなさいまし」
と云うから、文吉が先に立ち、重二郎を連れて奥へ通りました。
丈「さア/\此方《こちら》へお這入《はい》り」
重「誠に久しくお目にかゝりませんでございました」
丈「ど
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