》を貼《は》って、実印《じついん》を捺《お》し、ほッ/\/\と息をつき、
丈「臨終《りんじゅう》の願いに清次殿、お媒人《なこうど》となって、おいさと重二郎どのに婚礼の三々九度、此所《こゝ》で」
と云う声もだん/\と細くなりますゆえ、二人も不憫《ふびん》に思い、蔵前《くらまえ》の座敷に有合《ありあ》う違棚《ちがいだな》の葡萄酒《ぶどうしゅ》とコップを取出して、両人《ふたり》の前へ差出《さしだ》せば、涙ながらにおいさが飲んで重二郎へ献《さ》しまするを見て、丈助は悦《よろこ》び、にやりと笑いながら。
丈「跡方《あとかた》は清次どのお頼み申す早く此の場をお引取《ひきと》りなされ」
と云いつゝ短刀を右手の肋《あばら》へ引き廻せば、おいさは取付《とりつ》き嘆《なげ》きましたが、丈助は立派に咽喉《のど》を掻切《かきき》り、相果てました。それより早々《そう/\》其の筋へ届けますと、証書もありますから、跡方《あとかた》は障《さわ》りなく春見の身代は清水重二郎所有となり、前橋竪町の清水の家を起しましたゆえ、母は悦《よろこ》びて眼病も全快致しましたは、皆《み》な天民の作の観音と薬師如来の利益《りやく》で
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