あろうと、親子三人夢に夢を見たような心地《こゝち》で、其の悦び一方《ひとかた》ならず、おいさを表向《おもてむき》に重二郎の嫁に致し、江戸屋の清次とは親類の縁《えん》を結ぶため、重二郎の姉おまきを嫁に遣《や》って、鉄砲洲新湊町へ材木|店《みせ》を開《ひら》かせ、両家ともに富み栄え、目出たい事のみ打続《うちつゞ》きましたが、是というも重二郎|同胞《はらから》が孝行の徳により、天が清次の如き義気《ぎき》ある人を導いて助けしめ、遂《つい》に悪人|亡《ほろ》びて善人栄えると申す段切《だんぎり》に至りましたので、聊《いさゝ》か勧善懲悪の趣意にも叶《かな》いましょうと存じ、長らく弁じまして、嘸《さぞ》かし御退屈でござりましたろうが、此の埋合《うめあわ》せには、又其の内に極《ごく》面白いお話をお聞《きゝ》に入れる積《つも》りでござりますれば、相変らず御贔屓《ごひいき》を願い上げます。

(拠若林※[#「※」は「王へん+甘」、読みは「かん」、第4水準2−80−65、590−6]藏、伊藤新太郎筆記)[#地付き、地より1字アキ]



底本:「圓朝全集 巻の九」近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
   1964
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