えなご》う夫婦になって、我が亡後《なきあと》の追善供養《ついぜんくよう》を頼みます、申し御両君《ごりょうくん》如何《いかゞ》でございます[#「ございます」は底本では「ごいざます」と誤記]」
清「ふう、どうして重二郎さんに此の家《や》の相続が出来ますものかね」
重「それに貴方《あなた》が変死した後《あと》で、お上《かみ》への届けもむずかしゅうござりましょう」
丈「その御心配には及びませぬ、と申すは七ヶ年以前、貴君《あなた》の親御より十万円|恩借《おんしゃく》ありて、今年返済の期限|来《きた》り、万一延滞|候《そろ》節は所有地|家蔵《いえくら》を娘|諸共《もろとも》、貴殿へ差上候《さしあげそろ》と申す文面の証書を認《したゝ》めて、残し置き、拙者《せっしゃ》は返金に差迫《さしせま》り、発狂して切腹致せしとお届けあらば、貴殿《きでん》へ御難義《ごなんぎ》はかゝりますまい」
 と云いながら硯箱《すゞりばこ》を引寄《ひきよ》せますゆえ、おいさは泣々《なく/\》蓋《ふた》を取り、泪《なみだ》に墨を磨《す》り流せば、手負《ておい》なれども気丈《きじょう》の丈助、金十万円の借用証書を認めて、印紙《いんし
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