いまわ》に我《われ》を枕元に招き、我《わ》が亡《な》き跡にて此の孫を其の方《ほう》の娘となし、成長の後《のち》身柄《みがら》ある家《いえ》へ縁付《えんづ》けくれ、頼む、と我師《わがし》の遺言《ゆいごん》、それよりいさを養女となせしが、娘と申せど主君のお胤なれば、何とぞ華族へ縁付けたく、それに付《つい》ても金力《きんりょく》なければ事|叶《かな》わずと存ぜしゆえ、是まで種々《しゅ/″\》の商法を営《いとな》みしも、慣れぬ事とて皆《み》な仕損じ、七年|前《ぜん》に佐久間町へ旅人宿《りょじんやど》を開《ひら》きし折《おり》、これ重二郎殿、君《きみ》の親御《おやご》助右衞門殿が尋ね来て、用心のため預けられた三千円の金を見るより、あゝ此の金があったなら我望《わがのぞみ》の叶う事もあらんと、そゞろに発《おこ》りし悪心より人を殺した天罰覿面《てんばつてきめん》、斯《かゝ》る最後を遂《と》げるというも自業自得《じごうじとく》、我身《わがみ》は却《かえ》って快《こゝろよ》きも、只|不憫《ふびん》な事は娘なり、血縁にあらねば重二郎どの、女房に持ってくださらば心のこさず臨終《りんじゅう》いたす、お聞済《きゝ
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