》と思召《おぼしめ》され、女房《にょうぼ》に持ってはくださるまいか、いやさ敵同志の丈助の娘を女房に持たれまいが、さゝ御尤《ごもっと》もでござるが彼《かれ》は我《わが》実子《じっし》にあらず、我《わが》剣道の師にて元前橋侯の御指南番《ごしなんばん》たりし、荒木左膳《あらきさぜん》と申す者の娘の子なり」
清「ふう、それを何うしてお前さんの娘にはしなすったえ」
丈「さゝ其の仔細お聞き下され」
と苦しき息をつきまして、
丈「今を去ること十九年以前、左膳の娘|花《はな》なる者が、奥向《おくむき》へ御奉公中、先《せん》殿様のお手が付き懐妊の身となりしが、其の頃お上通《かみどお》りのお腹様《はらさま》嫉妬深《しっとふか》く、お花を悪《にく》み、遂《つい》に咎《とが》なき左膳親子は放逐《ほうちく》を仰付《おおせつ》けられ、浪々中《ろう/\ちゅう》お花は十月《とつき》の日を重ね、産落《うみおと》したは女の子、母のお花は産後の悩みによって間もなく歿《ぼっ》せしため、跡に残りし荒木左膳が老体ながらも御主君《ごしゅくん》のお胤《たね》と大事にかけて養育なせしが、其の後《ご》左膳も病に臥《ふ》し、死する臨終《
前へ
次へ
全151ページ中145ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング