い人だねえ、清水の旦那を殺し、又作という奴に悪智《あくち》を授《さず》けて、屍骸《しがい》を旅荷に造り、佐野の在へ持って往《ゆ》き、始末をつけようとする途中、古河の人力車夫に嗅《か》ぎ付けられ、沼縁《ぬまべり》へ持って往《い》って火葬にした事は、私《わっち》ゃア能《よ》く知ってるぜ」
丈「さゝゝそれがさ、天命とは云いながら、知れ難《がた》い事を御存じあるのは誠に不思議でござるて」
清「その又作という奴が、三千円の証書をもっているから、又作を殺して、それを取ろうとする謀計《たくみ》の罠《わな》を知って、実はお前さんが又作を縊《くび》り殺し、火を放《つ》けて逃げた時、其の隣の明店《あきだな》で始末を残らず聞いていたのだ、何《な》んと悪い事は出来ねえものだねえ」
丈「どうも左《さ》もなくば知れる道理はござらぬが、それが知れると云うのは天命|遁《のが》れ難《がた》い訳でござる」
清「その又作が火葬にして沼の中へ放り込んだ白骨を捜し出すか、出る所へ出るか、二つに一つの掛合《かけあい》に来たのに、腹を切って私《わっち》に頼むと云うのは一体どういう頼みですえ」
丈「さればでござる、御存じの通りいさと
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