程又作が箱の中へ入れて隠した書付が、万一《ひょっ》として彼《か》の三千円の預り証書ではないか、それに就《つい》ては何卒《どうか》消されるものなら長家の者の手を仮《か》りて消し止めたいと思い、取って返して突然《いきなり》又作の家《うち》を明けると、火はぽッ/\と燃上《もえあが》りまして火の手が強く、柱に縛付《しばりつ》けてあった細引《ほそびき》へ火が付きますと、素《もと》より年数の経《た》って性《しょう》のぬけた細引でございますから、焼け切れますると、彼《か》の箱が一つ竈《べっつい》へ当り、其の機《はず》みに路地へ転げ落ちましたから、清次はいや是だと手早く其の箱を抱えて、
清「竹え、長家から火事が出た、消せ/\」
と云って呶鳴《どな》りましたから、長家の者が出てまいり揉み消しましたから、火事は漸々《よう/\》隣りの明家《あきや》へ付いたばかりで消えましたが、又作は真黒焦《まっくろこげ》になってしまいましたけれども、誰《たれ》あって春見丈助が火を放《つ》けたとは思いませんので、どうも食倒《くらいたお》れの奴を長家へ置くのが悪いのだ、大方《おおかた》又作は食《くら》い酔ってらんぷを顛倒《ひ
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