っくりけえ》したのだろう、まア仕方がないと云うので、届ける所へ届けて事済《ことず》みに成りました。左様《そん》な事と存じませんのは、親に似ません娘のおいさで、十二歳の時に清水助右衞門が三千円持って来た時、親父《おやじ》が助右衞門を殺して其の金を奪取《うばいと》り、それから取付《とりつ》いてこれだけになったのは存じて居りますし、また助右衞門の家《うち》は其の金を失ってから微禄《びろく》いたして、今は裏家住《うらやずま》いするようになったが、可愛相《かあいそう》にと敵同志《かたきどうし》でございますが、重二郎と言い交《かわ》せましたのは、悪縁で、おいさは何うかお母《っか》さんの眼が癒《なお》ればいゝがと、薬師様へ願掛《がんがけ[#底本では「け」が脱落]》をして居ります。丁度十一日の事で、娘は家《うち》を脱《ぬ》け出して日暮方《ひぐれがた》からお参りに往《ゆ》きました。此方《こちら》では重二郎が約束はしませんが、おいさが一の日《ひ》は内の首尾が出《で》いゝと云ったこともあるし、今日往ったら娘に逢えようかと思って、薬師様へまいり、お百度を踏んで居りますと、お兼という春見の女中が出てまいりまして
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