寝ついた様子に、春見は四辺《あたり》を見廻すと、先程又作が梁《はり》へ吊《つる》した、細引《ほそびき》の残りを見附け、それを又作の首っ玉へ巻き附け、力に任《まか》せて縊附《しめつ》けたから、又作はウーンと云って、二つ三つ足をばた/\やったなり、悪事の罰《ばち》で丈助のために縊《くび》り殺されました。春見は口へ手を当て様子を窺《うかゞ》うとすっかり呼吸が止った様子ゆえ、細引を解《と》き、懐中へ手を入れ、先刻渡した千円の金を取返《とりかえ》し、薪《たきゞ》と木片《こっぱ》を死人《しびと》の上へ積み、縁の下から石炭油《せきたんゆ》の壜《びん》を出し、油を打《ぶ》ッ注《か》け、駒下駄《こまげた》を片手に提《さ》げ、表の戸を半分明け、身体を半《なか》ば表へ出して置いて、手らんぷを死骸の上へ放《ほう》り付けますと、見る/\内にぽっ/\と燃上《もえあが》る、春見は上総戸《かずさど》を閉《た》てる間もなく跣足《はだし》の儘《まゝ》のめるように逃出しました。する内に火は※[#「※」は「火へん+「稲」のつくり」、第4水準2−79−87、570−1]々《えん/\》と燃え移り、又作の宅《うち》は一杯の火に成り
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